気まぐれは風と共に…

第二話:お店にて






香里「…ということなの」

祐一「ふ〜ん」


俺は商店街に着くまでの道、いまの状況についての話を聞いた。

こんなRPGみたいな世界になってしまった原因はまだわかっていないが、この街以外は一夜の内に別世界に変わってしまったらしい。

なぜかこの街だけは元のままだが、外観だけらしい。

魔王の仕業じゃないか? と、尋ねたが、魔王はモンスターを生み出し世界を混乱させる能力しかなくて、世界を変えるなんて芸当は出来ないらしい。

その魔王も通常ではこちらの世界には来れないなずなので、おそらく誰かが人為的に呼び出した可能性が高い。

それはわかったんだが、なんで俺が勇者なんだろうか?

聞くと、香里も天野も佐祐理さんもなぜ自分が勇者のパーティーなんかやってるのか、いまいち理解できていないらしい。

この三人に理解できていないのだから、この俺に理解できるわけもないので、細かい事は気にしないでおこう。

んでもって、商店街到着。

祐一「ふ〜。モンスター出てこなかったな〜」

なんの武器も装備していない今、モンスターに出会うとヤバイ。

佐祐理「とりあえず武器屋に行きましょう〜」

祐一「そうだな」

天野「武器屋はこちらです」



天野に連れられ店に入る。

考えていた武器屋のイメージとは違い、なにかブティックに無理やり武器を置いたような感じだ。

っと、そういえばこの街だけ外観は変わらないんだったな。

そうなると、この店も昨日までは、なにか普通の店だったに違いない。

奥のカウンターには見た感じ、自分とあまり年齢の変わらない感じの若い兄ちゃんが立っている。

その兄ちゃんは俺に気付くと、なにか目配せをしてきた。

アイコンタクトで伝えられた言葉を繋ぐ。



はは〜ん、俺にアレをやれというのだな。

俺は「OK」サインを出す。

それを見た店員は、俺に対し棒読みで話し掛けてきた。



店員「ここは ぶきと ぼうぐのみせだ。うっているものを みるかね?」

祐一「はい」

店員「なにを かうかね?」

祐一「こんぼう」

店員「こんぼうだね。どうも ありがとう。だれが もつかね?」

祐一「ああああ」

店員「ああああは これを そうびできないが いいかね?」

祐一「はい」

店員「ほらよっ ああああさん! ほかに なにか かうかね?」

祐一「いいえ」

店員「また きてくれよなっ」



香里「なに、ドラ○エごっこやってるのっ!!」

祐一「おお、助かった」

店員「ツッコミが来なかったら次の展開どうしようかと思ってたところなんですよ」

祐一「まったくだ」

祐一・店員「「あっはっは〜」」

香里「はぁ〜。やっぱり流せばよかったかしら…。」

佐祐理「それにしても息が合ってますね〜。お知り合いですか〜?」

祐一・店員「「いや、まったくの初対面です」」

香里「はぁ…。頭イタイわ」



店員「そんなことより武器をお探しですか?」

香里「武器屋に来て他にすることある?」

店員「ごもっともで。…まあ、それなりの品揃えはしてますんで好きなの選んで行って下さいな」

香里「言われなくともそうさせてもらうわ。ほら、相沢君。選びに行きましょ」

祐一「おう」







で、『男ならやっぱり剣でしょうっ!』ってことで剣の棚に来てるんだが…

祐一「結構種類があるんだな」

剣だけでも大小様々、30種類以上はあった。

祐一「これなんかどうだろうか?」

見た目カッコイイ感じの「キングスソード」という商品名の剣を手に取った。

いかにも高級そうな剣。

値段は…

ぐはっ!

80万円もしやがる。

天野「それですか?」

天野は自分の剣を選んでいた手を止め、何かいぶかしげそうな顔で俺を見る。

天野「それはダメですよ」

祐一「ああ、分かってる。高すぎるんだろ」

天野「いえ、そういうわけではなくて…。相沢さんはそれを買っても装備できませんよ」

祐一「そうなのか? でも、勇者って剣はほとんど装備できるはずだろ?」

天野「言い方が悪かったですね。性格に言えば『今は』装備できないということです」

祐一「『今は』?」

天野「はい。それぞれの職業で装備できる武器は決まっていますが、その職業で装備可能な武器でも装備者の能力が、武器の装備に必要な能力に達していないと装備できないのです」

祐一「つまり、強力な武器は自分もそれなりに強くないと使いこなせないという事か?」

天野「はい」

祐一「う〜ん、そうなると今の俺はどの辺まで装備できるんだ?」

天野「そうですね。……この辺ではどうでしょう?」

天野に渡されたのは鋼の剣。

シンプルなデザインだが、それが逆に俺に合っていると思った。

重量はそこそこ重いが、使いこなせない程ではない。

祐一「なかなかいいね」

他に適当な剣が見つからなかったので、コレに決定。

え〜と、値段は…

祐一「ゲッ!! 5万円もしやがる」

天野「そのぐらいなら大丈夫ですよ」

そうは言うが、さっき卸した北川の貯金は58000円。

あと細々したの合わせても6万チョイと、いったところ。

祐一「いや、でも服もコレ(布の服)じゃ不安だし鎧も買わないといけないだろ。、佐祐理さんと香里も何か買おうとしてたし、その分も考えたら俺の剣だけで5万はチョットな〜」

ちなみに今、香里はクロー(爪)、佐祐理さんはステッキのコーナーに行っている。

天野「心配いりません。コレがありますから」

そういって、クレジットカードを懐から出す。

北川のだ。

そういや、前回そんなの盗ってたな〜。

天野「上限は100万までです」

祐一「…まあ、そういうことなら遠慮なく」

天野「コレにするんですか?」

祐一「そうする。…そういや、天野も何か買うのか?」

天野「はい。やはり初期装備では不安なので、もう少しいい物を…」

祐一「そうか〜。…おっ、これなんかどうだ?」

少し小ぶりで、クラシックな雰囲気が天野に合っていると思い、その剣を渡した。

天野「ミスリルソードですか…。ふむ」

剣をかざして遠目からのアングルで確認した後、両手で持ち顔を近づけ商品を見定める天野。

その姿はどことなくオバサンくさい。

やってる仕草は普通なのだが、かもし出す雰囲気がどうも違うのである。

う〜、言いたい。

あのセリフを言いたい。

しかし、ここで言うと剣を持っている天野に何をされるかは目に見えている。

よし、ここはオブラートに包んだ表現で言ってみよう。

祐一「おい、天野」

天野「はい、なんでしょう?」

祐一「お前、オバサンくさい」

ぐはっ、しまった全然オブラートに包めていない。

どうして、俺はやわらかな表現ができないのだろう?

天野「……」

シャッ

ガキーンッ!!

祐一「…天野さん。何も言わずに人を切ろうとするのは、あまり行儀がよくありませんことよ?」

間一髪、天野が俺を叩っ切ろうとするのを自分の剣で受け止める。

大体どこを狙うかは検討を付けていたので受け止めることが出来た。

天野「あら、すみません。ちょっと振ってみて使いやすさを確かめていただけなんですが…」

いや、確実に狙ってたぞ、首。




天野「…以後、気をつけます」

祐一「そうしてくださいな」

天野「……」

祐一「……」

天野「振った感じ使いやすそうですね。これに決めます」

祐一「…そっか」

ちなみに値段は98000円。

剣の素材であるミスリルが世界でも、ある一部の鉱山でしか採れない貴重な金属らしい。

店員によると、これは人が使っていたいわゆるお古なのでこの値段であるが、新品ならば軽く20万は越えるという。

祐一「俺らの武器は決まったことだし、香里と佐祐理さんの様子でも見に行ってくるわ」

天野「それじゃあ、私は防具のコーナーにでも行ってます」

祐一「わかった」







祐一「佐祐理さん決まった?」

佐祐理「あっ。祐一さん」

佐祐理さんはステッキのコーナーでまだ選んでいるところだった。

祐一「香里は?」

隣のクロー系の武器の棚にいるはずの香里の姿がなかった。

佐祐理「香里さんなら武器は早々に決めて、防具のコーナーに行ってますよ」

祐一「そうか。で、佐祐理さんまだ決まらないの?」

佐祐理「はい。この2つで悩んでるんですよ」

佐祐理さんが悩んでいたのは「死者の杖」と「ゾンビロッド」。

祐一「…佐祐理さん、趣味悪いって言われません?」

佐祐理「なんでです?」

祐一「なんでって…」

それ、呪われてそうなんだもん。

佐祐理「おかしな、祐一さん」

…おかしいのはアナタです。

そうは言えない相沢祐一であった。

佐祐理「祐一さんはどっちが良いと思います?」

また、ムチャな選択肢が…

いや、これはゲームではない。

したがって、自分の道は自分で切り開くことが出来るはず。

そうだ、俺は虎になるんだっっ!!(謎

祐一「いや、佐祐理さん。どっちも個性的過ぎて佐祐理さんのイメージには少しあわないような気がするんですが…」

佐祐理「ふえ、そうですか?」

祐一「ええ」

佐祐理「う〜ん。それじゃあ祐一さんはどれが良いと思いますか?」

祐一「え? う〜んと…」

俺は杖の棚を見回す。

他のはちゃんとした杖だ。

なんであの二つに目がいったのだろう?

祐一「これなんかどう?」

俺が渡したのは魔道士の杖というもの。

小型で携帯性に優れた感じの杖で、デザインも佐祐理さんの雰囲気にピッタリな気がしたのでコレを薦めた。

佐祐理「ほえ〜、これですか〜」

そういって佐祐理さんはブンブンと杖を振りまわす。

佐祐理「う〜ん…」

なにやら、悩んでいる模様。

よほど、さっきの二つが気に入っていたのだろうか。

しかし、それだけは断固阻止せねば。

祐一「その杖、佐祐理さんにめちゃくちゃ似合ってる。その杖持った佐祐理さんってカッコイイな〜」

佐祐理「あはは〜。そうですか〜? なら、コレにします〜」

相沢流ベタ誉め作戦成功。

佐祐理さんの武器は決定した。

佐祐理「それでは防具の方に行きましょうか」

祐一「はい」







祐一「あれ、天野だけか。香里は?」

天野「香里さんは服決まって今着替えてますよ」

祐一「ふむ」

香里「ふふふ。相沢君来たわね」

更衣室の中から香里の声がする。

香里「この服なんだけど…」

ジャララ〜

更衣室の仕切りが開かれる。

祐一「ぐはっ」

香里「どうかしら?」

どうってあんたそれチャイナドレスじゃないですか!

イイに決まってるじゃないの。

スリット、スリットがーー!!

祐一「グッジョブ!」

香里「そう、相沢君なら喜んでくれると思ったわ。これに決定〜」



佐祐理「香里さんズルイです〜。佐祐理も祐一さんを悩殺させるような服を…」

祐一「佐祐理さんそっち呪われてる服のコーナーですよ!」

なんで悩殺でそっちに行きますか!

祐一「悩殺なんかしなくても佐祐理さんは十分魅力的ですから。…このローブなんか似合いますよ、きっと」

ベタ誉め作戦その2。

佐祐理「ふぇ〜。祐一さんがそういうならコレにします〜」

そのローブは何気にいいもので回復魔法の威力を増幅させてくれるものらしい。

祐一「天野は何にするんだ?」

天野「私はコレにしようかと…」

ふむ。

天野が見ていたのはミスリルメイル。

さっきの剣に合わせてってところだな。

さすがに無難に選んでくるな。

やっぱその辺がおばさ…っと危ない。

香里「じゃあ清算済ませますか」

祐一「おう」

美汐「…そうですね」

佐祐理「は〜い」





店員「98万9600円になります」

祐一「………は?」

店員「98万9600円です」

祐一「……………」

店員「……………」

祐一「……って、マジっすか?」

店員「マジですよ。お支払いは現金で?」

天野「いえ、カードで」

そういって北川のカードをバンと机の上に置く。

北川、カード破産決定。





店員「ありがとうございました〜。っと…服着替えていった方がいいですよ。街中も最近は敵が出るみたいですし」

祐一「物騒な話だ…」

天野「じゃあお言葉に甘えましょう」

そして俺達は店で着替え外にでる。







祐一「なかなか良い店だったな」

天野「そうですね。品揃えも、まあまあ   

ガサッ

天野「っ!! 相沢さん危ないっ!!」

ドン

祐一「うおっ!! なんだ?」

美汐「敵です!!」

さっそく来たかっ!!

佐祐理「佐祐理は戦闘準備OKですよ〜」

美汐「私ならいつでも行けます」

祐一「俺もOKだ」

たぶん。

香里「それじゃあ、行くわよっ!!」

祐一「おうっ!!」





名前
祐一
香里
天野
佐祐理
レベル
職業
勇者
モンク
戦士
白魔道師
武器
鋼の剣
カイザーナックル
ミスリルソード
魔道師の杖
鋼の鎧
チャイナドレス
ミスリルメイル
白のローブ

…つづく。



[後書き(っぽい物)]


g「ども〜、第二話です〜」

あゆ「なんか、第一話からえらい経ったんだけど、いいわけは?」

g「ないね」(きっぱり)

あゆ「そんなきっぱり言われても…」

g「漢らしいだろ?」

あゆ「漢らしいというか、ある意味一番タチが悪いね。堂々と更新を怠ったわけだし…」

g「ふっ、いつか花開くさ」

あゆ「…ワケわかんないよ」

g「今回はお買い物編ということでしたが、どうだったでしょう?」

あゆ「微妙」

g「微妙言うな! まあ次はいよいよ次回は戦闘編です」

あゆ「燃えるね〜」

g「それでは…」

g・あゆ「「ごきげんよう」」



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