透き通るような青い空の下。



春風が舞う午後の屋上に藤田浩之はいた。



ここは学校の中で、唯一彼が落ちるける場所でもある。



藤田浩之はベンチに寝そべり、何も考えずぼんやりとしていた。



さっきまでいた生徒たちもどこかに行ったようだ。



屋上には彼一人。



彼はその心地よさから、ふと目をつぶる。









喊烈武道大会

〜序の段〜










「ん? ふぁ〜あ」

少し眠ってしまったようだ。

何か夢を見ていたような気もするが、はっきり覚えているはずもなく…。



周りを見回す。

屋上の様子は何も変わっていない。

爽やかな春風が吹く。

なんて気持ちがいいんだろう。

オレはまた目をつぶり、心地いい春の午後を全身で感じていた。

こうしていると午後から待っている授業の事なんか忘れてしまいそうだ。

「ん、授業…?」

ふと時計に目をやる。



「…え〜と、二時じゅうさんふん……」







「な、なんだってーーー!!」

誰も屋上にいないはずだ。

もう、五時間目の授業が始まって30分以上が経っていた。

急いで階段を駆け下りる。

「やっばいなー。これで7度目だぜ」

今月に入ってからチャイムの調子が悪いらしく、5時間目の始まりのチャイムが鳴らない。

先生もその辺は考慮に入れた上で許してくれるはずだ。(くれるのか?

ガラガラガラ…。

「先生ー。またやっちゃった…ってあれ?」

そこに先生の姿は無く、みんな何やら一生懸命作業をしている。

「何やってんだー、あかり?」

「あ〜、浩之ちゃん。何やってんだじゃないよ〜」

「なんだ? 何かあったのか?」

「何言ってるの、浩之ちゃん。5時間目は時間割変更で大会準備になったって、朝のホームルームで鬼ヒゲが言ってたでしょ」

朝のホームルームなんて、昨日リーフファイト98で全員のレベルを20まで上げることに寝る時間をさいた為、起きている筈がない。

「ん? ちょっと待て、あかり。鬼ヒゲってだれだ?」

「何言ってるの。鬼ヒゲは鬼ヒゲ。私達の担任の先生じゃない」

誰だ!?

そんなあだ名の奴、担任にもった覚えはねぇ。

「担任? いや担任は…」

「浩之ちゃん」

「担任は誰がなんと言おうと鬼ヒゲなの、わかった?」

なんだかドスの聞いた声で脅される。

「はい…」

とても怖かったので従うしかなかった。



「で、大会って言ってたけど何の大会だ?」

球技大会は来月だし、総合体育大会はこの間終わったばっかりだ。

この時期に何か大会なんてあったか?

「何のって、喊烈武道大会に決まってるでしょ」

そうか〜、カンレツブドウ大会か〜。

カンレツブドウ大会、カンレツ武道大会、カンレツ葡萄大会……。

「そんな名前の大会なんて知るか!」

「え〜っ!! 浩之ちゃん知らないの?」

「全くもって」

「しょうがない。このあかりさんが教えてしんぜよう」

なぜか偉そうだ。

「世界四大格闘技大会の内の一つ。四大大会の中で唯一のチーム戦。なぜか男1人女3人の4人チームという一風変わったチームで勝敗を競う。過去には『エ○ケイがヌンチャク振り回して大暴れ』や『ジ○キとゼ○スの死闘』など多くの伝説が残されている」

なぜ伏字が多数…。

なんか著作権に引っかかるのか?

「でも、格闘技大会だろ? なんでそんな大会の予選の準備をここでしてるんだ?」

当然沸いてくる疑問をぶつけてみた。

「そりゃあウチの学校が出場することになったので代表者を選ぶために予選を行うからだよ」

「ふ〜ん」

そうか〜うちの学校がねぇ・・・



「って、マジっすか!?」

「マジっすよ」

さすが、あかり。

この辺の受け答えは幼馴染ならではだろう。

などと、関心してる場合じゃなかった。

「でも、なんでこの学校が選ばれたんだ?」

「ハガキによる審査だよ」

「ハガキ? ああ、ハガキにその学校の体育クラブの実績とか書くんだな」

「違うよ。学校の名前書くだけ」

「名前書くだけ? それでどうやって審査するんだ?」

「ええと、それはね…」







オレはその後、強い人がいる学校のハガキは『凝』で見れば『念』が見えて、その強さで決めているという難易度レベルEの説明を聞かされた。

まあ、ようするに強い人がそろっている学校の出したハガキには特別なオーラみたいなのが出てて、主催者側がそれを読み取るといった感じらしい。

「そういや、学校単位で選ばれるっていうことは、この大会って学生オンリーか?」

「う〜ん、そうじゃないんだよ。実は…」



長いので省略



あかりの説明をまとめると、



・本大会に出場できるのは4チームで、学校選出が3組、一般選出が一組。

・学校選出はハガキで審査し、その後学校内で代表選手を決める予選を行う。

・一般選出は参加自由、一対一のトーナメント戦で代表者を決める

・ただし、予選の決闘方法は格闘技になるとは限らない。



と、いった感じ。

キーンコーンカーンコーン

…なんか、あかりと長いことしゃべってたら、いつの間にか5時限目が終わり、休み時間になっていた模様。

結局オレ、準備なにも手伝ってないけどいいのかね。

でも、参加する物好きはいるんだろうか?

「そういや、予選には誰が参加するんだ?」

「へぇ〜余裕だね」

「何が?」

「あ、そっか。寝てたから知らないのか」

「だから、なにが?」

「浩之ちゃん、予選に参加することになってるのよ」

「…ヒロユキ・チャン? 中国人か?」

「なにベタなボケをかましてるの。浩之ちゃんよ。藤田浩之。女を泣かせた回数37回」

…そんな経歴を持ったやつはオレの知っている限り、一人しかいない。

「Meっすか!?」

「Youっすよ」


「なんで? いつのまに、そんなことに…」

ちなみに女を泣かせた回数は正確には38回だ。

「浩之ちゃんが朝のホームルームで寝てる間に」

「おいおい、勝手に決めるなよな」

「しょうがないじゃない。男子の参加希望者が雅史ちゃんだけだったから、それじゃ面白くないからって推薦で浩之ちゃんの参加が強引に決まったのよ」

「マジか。くそ〜、だれが推薦なんかしやがったんだ〜!!」

「さあね」

そういったあかりの口元はなぜか少し笑っていた。

…コイツだな、絶対。

「そういや、さっき雅史が出るとか言ってなかったか?」

「そうだよ。ね、雅史ちゃん」

「うん」

今まで会話には参加していなかったが隣にいた雅史がそう答える。

「でも、雅史って格闘技出来たっけ?」

「いや、僕達の決闘方は格闘技じゃなくてPK戦らしいよ」

「PK戦ってサッカーの? なんでまた」

「浩之ちゃん、さっきの私の説明聞いてた?」



・ただし、予選の決闘方法は格闘技になるとは限らない。



ああ納得。

「そういやそうだったな。でも格闘技の大会なのに、予選は格闘技とは限らないっていうのはムチャクチャだな」

「主催者側の趣旨で、その場に会った予選方法を選ぶらしいよ」

「ふ〜ん」

「ちなみに、女子の予選は全て格闘技よ」

「女子か〜。そういや、だれが出るんだ?」

「あ、え〜とね、確か…。あ、これ」

そう言ってあかりはパンフのような物を渡してきた。

題名をみると出場選手名簿とある。

それを開くと名前だけじゃなく選手の特徴なども細かく載っていた。

どれどれ…。



・宮内レミィ:弓を使わせたら右に出るものは居ない。

ふむ、確かに弓はなかりの腕前だ。

・来栖川綾香:エクストリームのチャンプ。パワー、スピードどれをとっても一級品。

まあ優勝候補だな。

・松原葵:エクストリームで好成績を収める実力者。ガッツ溢れるプレイは見もの。

まあ当然出てくるか。

・姫川琴音:超能力をメインとした技を繰り出すのが得意である。

超能力もありなのか…。

・来栖川芹香:漆黒の魔術師。ひ弱な体を黒魔術で補う。

黒魔術か…もうなんでもありだな。

・マルチ:来栖川家のテクノロジーの実力が今発揮される。

あいつメイドロボじゃなかったっけ…。

・雛山理緒:他の人にはないハングリー精神が持ち味

ハングリー…頑張れよ。

・長岡志保:穴馬

…なんか志保だけ扱い悪っ!







ふむ、この8人の中から女子3人の代表者を選ぶわけか。

「あれ、あかりは出ないのか?」

「うん。私は保科さんと司会をやるの」

そういや委員長も出てないな。

結構強そうなのに…。

「二人で司会か。委員長はともかくとして、あかりは大丈夫か?」

「うん、まかせて。保科さんにみっちり仕込んでもらったし」

「そうそう、まかせとき」

まあ、委員長がそこまで言うなら大丈夫だろう。

キーンコーンカーンコーン

その時、6時限目の開始を告げるチャイムが鳴り響いた。

「ほらほら、6時限目が始まるし席座りいや」

「そうだね」

「おう」

何で6時限目は普通の授業なんだ?

まあ、文句を言っていても始まらないのでオレもおとなしく授業をうけようと席に座る。

確か次の授業は英語だったな。

え〜と、英語〜、英語〜、英語の教科書は…







…ゲッ、忘れた。







時は流れて放課後



「大変だったね、浩之」

「まったくだ…。なんで教科書忘れただけで、水入りのバケツを持って廊下に立たされないといけないんだ?」

漫画じゃあるまいし。

「でもよかったね。鬼ヒゲだったら油風呂の刑だったかもしれないよ」

「ああ、助かったな」

油風呂が何のことか良く分からなかったが、深く追求すると面倒なのでやめといた。

というか鬼ヒゲって誰だ!

「そういやあかりは?」

「さっき抽選会の司会があるって言って、体育館に行ったよ」

ふむ、いつの間に…。

「そうだ浩之。男子は二人だし抽選会とかないけど…暇だから行かない?」

「…そうだな、行くか」

「うん!」







「で、体育館来たはいいが…」

ザワザワ、ガヤガヤ。

「すごい人だねぇ」

パッと見ただけで400人はいるだろう。

『これから、喊烈武道大会予選の抽選会を始めます』

「ちょうど始まるところだね。浩之、もっと前の方に行こうよ!」

「おう」



「あ、ちょっとすんませんー」

オレと雅史は、人ごみをかきわけ突き進んでいた。

「ぐ、きついな」

「ああぁぁ、浩之いぃぃぃー…」

「あ、雅史ー!!」

雅史は人の波におされ、どこかへ行ってしまった。

…雅史、お前のことは忘れないよ。



ようやく最前列までがんばって割り込んだとき、一人の顔見知りの子がいた。

「いようっ! 琴音ちゃん」

無意味にハイテンションで挨拶してみた。

「あ、藤田さん。こんにちは」

普通に返されて少しションボリである。

「あ、琴音ちゃんも出るんだろ。対戦決めってどんな風に行われるの?」

「単純にクジで決めるんですよ。選手は呼ばれたら前に出てクジを自分で引くんです」

「ふ〜ん。あ、でも選手は8人で学校代表者になれるのは3人だろ? どういう対戦方式になってるんだ?」

「ああ、えーとまず8人がトーナメント方式で一回戦い4人にしぼられます。その4人で総当たり戦を行い上位3名が代表者となるわけです」

「なるほど」

「あかりによれば他のところは予選が終わってるらしいけど」

「大会来週ですからね」

「他ってどんなところが出ているのかな? 琴音ちゃん知ってる?」

「はい。これに載ってますが見ますか?」

そういって一冊のファイルを取り出す。

「お、ちょっと見せてよ」

「はい」

中をみると新聞や雑誌が切り抜いてあった。

綾香のとか葵ちゃんのとかも結構あるな。

情報収集も戦いを有利に進める条件ってわけだな。

で、他の出場チームは…っと、これだな。



『アストラルバスターズ』

学校選出。

雫のメンバーで構成されている

電波使い二人、頭脳派一人、体力派一人。

とてもバランスがとれたチームで個々の実力も高い。

異星人と戦って勝ったこともあるらしい。



『チームガチャピン』

一般選出。

一般選出はすべてのゲーム、すべての職業の中から選出される。

もちろん社会人だけでなく出場にもれた学校の学生なども出場する。

にもかかわらず、その圧倒的パワーで代表者はすべて痕のメンバーになった。

鬼4人という構成になっている。



『南は沢口』

学校選出。

ONE〜輝く季節へ〜のメンバーで構成されている。

チーム名にもなっている沢口君こと南君は残念ながらメンバーには選出されなかった。

いらん事するの好き、甘いもの好き、爆裂乙女、大食いの4人。







ふむ、どのチームも強そうだ。

『次、姫川琴音さん。ステージのほうに来てくじを引いて下さい』

あかりの声がする。

「あ、わたしの番ですね。それでは行ってきます」

「幸運を祈ってるよ!」

「ありがとうございます。それでは…」

ファイルに見入っている間にもう4人がくじを引き終わっていたようだ。

抽選の方法を確認しておくと、トーナメントの表に順番に1〜8までの数字が書いてあり、その数字を引いた人が、その場所になるという簡単なものである。

つまり、予選は1番と2番、3番と4番、5番と6番、7番と8番が闘うことになる。

そして、勝ち残った四人の中で総当たり戦をし、上位三名が出場できるというものである。

現在の状況は、綾香、理緒、マルチ、レミィの四人がくじを引き、綾香が1番、理緒が3番、マルチが5番、レミィが7番と上手いことバラけている。

今からは、引くたびに対戦相手が決まるという状況だ。

ステージ上で琴音ちゃんがくじを引いた。

そして、それを委員長に見せる。

『姫川琴音さん4番です!』

『オオーッ!!』

会場に集まった野次馬どもがどよめく。

新聞記者らしき人物は、さきほどから手帳にメモをしている。

どうやら、この試合はかなりの好カードらしい。



『来栖川芹香さん6番です!』

またも会場がざわめいた。

委員長が先輩の名前をボードに記入する。

ということは、マルチと闘うのか…。



その直後、葵ちゃんが8番を引き、これまた会場をざわめかせる。

すると残りは………。

綾香、一回戦突破おめでとう。

これまでの状況をまとめておくと…。

第一試合は、
来栖川綾香VS長岡志保

第二試合は、
雛山理緒VS姫川琴音

第三試合は、
マルチVS来栖川芹香

第四試合は、
宮内レミィVS松原葵



う〜ん、どの試合も見所盛り沢山だな〜。

う、そういえばオレと雅史のPK戦もあるんだったな。

しばらく体動かしてなかったから大丈夫だろうか。

いまさら何をしても変わらないと思うが、今日の帰り道ぐらい軽くランニングして帰るかな。



タッタッタッタ。

現役当時からしたら少し体が重い感じはするが、結構ノってきたぞ。

もう少しムチャしてみるか。

ダッシュ。

ダダダダダッ

そして、ロンダードから

クルッ

バク転。

シュッ

ダン!!

グキッ!!

よし! 着地もパーフェクトだ。

着地の時に腰が変な音を立てていたのは気のせいだろう。

これで明日もばっちりだ。

それではおやすみ…。







つづく。







次の話へ







g「どもっす。DNMLを無理やりSSに直したので、なんかおかしい所満載でお送りしました」

あゆ「ホントそうだよね」

g「あ、このSSの後書きも、アシスタントは月宮あゆさんです」

あゆ「あ、どうも。でも、なんか変だね、このSS」

g「う〜ん、DNMLを無理やりSSにしたため消去した所もあり、修正した所もあり、付け加えた所もありでがんばったんだけど…」

あゆ「アンタの力の無さが原因だね」

g「アンタって言うなっ!!」

あゆ「あと、このSSだけ見たら、どこにゲーム5つも必要なんだ? とか、思うよね」

g「To Heart以外ののゲームの人はセリフないし、Kanonの人達はDNML版では出番があったのですが、SS版は都合上すべて削ったからね〜。まあ、DNMLでは結構他のゲームの画像使われてたりするのです。あ、次回は全ゲームの人(全キャラではないけど)がセリフあるのでご期待を」

あゆ「でも、なんでSSにしようとしたの?」

g「DNML版はゲーム5つ要インストールという、敷居が高かったため、DNML見れない人用にと思って…」

あゆ「あと、場繋ぎだね」

g「う、なぜその理由を」

あゆ「一応、関係者だから」

g「まあいいや。それではみなさん」

g・あゆ「「ごきげんよ〜」」



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