ルクソールの憂鬱



夕食後。

俺は秋子さんと二人でリビングに居た。

名雪はといえば夕食を食べた後、明日提出の課題をやるといって部屋に篭りっきりである。

確かに明日提出の課題の量はとんでもなく多い。

しかしまあ出されたのが3日前なので、頑張れば出来ない量ではない。

名雪はその授業中寝ていたので、今日その話題が出るまで課題の存在すら知らなかった。

よって、今日は徹夜だろう。

…がんばれよ。



俺か?

俺は、もうバッチリ。

なぜなら



祐一「お前(の課題をやったノート)をくれ。俺にはお前(のノート)が必要なんだ」

と、学年主席のかおりんに夜の公園で甘く囁けば一発OKだった。



秋子「ダメですよ。そんな結婚詐欺みたいな事しては」

祐一「……」

秋子さんが勝手に思考を読み取り、話し掛けてくる。

こんなことは日常茶飯事なので驚いてはいけない。

こういうときは…

祐一「ごめんなさい。今度からはきちんと、自分でやります」

秋子「よろしい」



その後、秋子さんとの会話は途切れ、テレビを見ていた。

テレビでは栞が毎週見ているといっていたドラマがやっていた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『あたしを七瀬留美と知った上で喧嘩を吹っかけてくるとは言い度胸ね』

『い、いや肩がぶつかっただけなんですが…』

『問答無用っ!! 真空殲風衝っ!!』

ゴバーーーッ!!

『ふぎゃぁーっ!!』



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



栞から聞いた話によると『とある少女が乙女になるために様々な障害を乗り越えていく激甘ラブストーリー』だったはず…。

なにがどうなったんだろうか…



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『また、つまらぬものを髪の毛一本この世に残さない様にしてしまった』





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



ドラマが終わった。



秋子「祐一さん」

祐一「わっ」

いつのまにか秋子さんが俺のすぐ隣にいた。

秋子「動かないで下さいね」

そういって秋子さんが顔を近づけてくる。

祐一「な、あ、秋子さん?」

秋子「いいから、そのまま」





こ、これはもしかして…





二人でイケナイことを…





ダメです秋子さん。





これは法律で認められない、禁断の関係。





禁断の関係…





禁断の関係?





禁断の関係…











いいかも。







秋子「あらあら、やっぱり」

祐一「へ? な、なんですか?」

秋子「耳垢が溜まってます」

…なんだそれ。

禁断の関係は?

でも、そういえばここ何週間か耳掃除なんかしてないな。

そりゃ、溜まっててもしょうがない。

秋子「取ってあげます」

そういって耳掻きを持ってくる。

秋子「どうぞ」

そういって、秋子さんは自分の膝の上をポンポンと叩く。

ここに頭を乗せろということだろうか…



…それはマズイ。

非常にマズイ。

それは、秋子さんの膝枕という非常に魅力的なことに対して、俺の理性が持つかどうか…。

否、確実に持たない。

よし、ここは欲望をグッと抑えて、クッションを枕にしてもうらおう。



祐一「あの、秋子さん……ってうわ!!」

秋子「どうしたんですか?」

祐一「いつの間にチャイナ服に着替えたんですかっ」

秋子「こっちのほうが祐一さんが喜ぶと思って」

祐一「喜ぶっからって…」

そりゃー、チャイナ服は男のロマンですよ。

っていうより、スリットがっ!

生足が〜っ!!



理性・社会的地位VSチャイナ服・膝枕。

30分一本勝負、始め。

カーン



秋子「どうしたんです? 早く来て下さい」

祐一「今行きます」



カーンカーンカーン。

開始0.3秒。

チャイナ服・膝枕組の圧勝。



祐一「それでは失礼します」

秋子「はい」

フニ

チャイナ服だから余計にダイレクトな質感が伝わってくる。

秋子「まずは左耳から」



かきかき



かきかき





あー、ええな〜。

秋子さんは絶妙の強さで耳垢を取り出す。

秋子「フーッ」

ぐはっ、耳に息を吹きかけるのは反則です。

しかし、これはまさにヘブン。

いや、むしろ天国よりも心地よいかもしれない。

死を体験せずして極楽を合間見るとは、なんて幸せな男だろう。

しばらくもしないうちに頭がボーッっとしてきた。

いまなら空でも飛んで羽の生えた少女にでも会いにいけるような気分だ。

わかりにくい表現だが、いまならいつも出来ないことができそうって事だ。



そうだっ!!

いまならあの質問も聞ける。

今の俺ならできるはずだっ!!



祐一「あの、秋子さん?」

秋子「なんです?」

祐一「秋子さんって何歳なんですか?」















ヒュ〜〜〜











辺りの気温が23度下がったような気がした。

やはり、これは聞いてはいけない質問だったのか?











秋子「28歳です」

祐一「……」

しかし回答はえらく、あっさりと帰ってきた。

名雪は聞くのためらっていたが、まあそんなに気にすることもなかったんだな。

しかし、28歳か〜。

28…

祐一「って、28〜!!!!?」

秋子「…疑ってますね?」

祐一「いや、疑うとかそういう以前の問題が…。そうなると名雪は…」

秋子「誰の子でしょうね?」

マジっすか秋子さん…って、目がマジだ。







ガタンッ



祐一「!!」

名雪「に、にゃーーーーーーーっ!!」

祐一「待て、名雪!!」

ダダダダ、ゴン、ダダダダー

祐一「速い。さすが陸上部」

オレが止めようかと思ったときには、もう遅かった。

しかも、玄関のドアでしっかりと頭をうつという芸当もしっかりこなしていた。

錯乱していたためか、泣き方がおかしかったのは特に気に留めることではないだろう。



祐一「どうしましょう?」

秋子「どうしましょうか」

秋子さんは全然困った様子ではない。

祐一「秋子さん」

秋子「冗談です」

祐一「いや、冗談になってませんって」

秋子「あらあら。それよりも続きをしません?」

祐一「続きって…」

秋子「まだ、右耳が残ってますよ」

祐一「そうでした」

それから祐一くんは名雪のことはすっかり忘れて、しばらくの間の天国気分を味わいましたとさ。













[後書き(っぽい物)]


あゆ「えっ? これで終わり?」

g「終わりっすよ」

あゆ「なんか腑に落ちない終わり方だけど…」

g「まあ、こういうのもアリかな〜って」

あゆ「でも、いろんな謎が残るよね」

g「なにが?」

あゆ「結局のところ名雪さんは誰の子なの?」

g「さあ」

あゆ「さあってアンタ…。この話、最終的に『ほのラブ』じゃなくなってるよ。どちらかというとダークに…」

g「え〜、後書きはジェミニ&えせバッファ○ーマンの1000万パワーズがお送りしました」

あゆ「うわっ! むりやり終わろうとしているっ。しかも1000万パワーズって何?」

g「えんい〜」

あゆ「ホントに終わる気だよ」



戻る
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送