私の名はポテト。
陸の王者とも呼ばれていた事もあったがそれは遠い昔の話。
今日もこうしてブラブラと街を歩き回るのが私の日課である。
ポテトの散歩
お、あの者はまだ懲りずに芸をしているのか。
診療所の前で半分ゲッソリしながら座っている男は国崎往人。
芸でお金を稼ぎつつ旅をしているらしいが、お金が尽きたらしくなんだかんだでこの街にとどまっている。
ぴこぴこ
「む、毛玉か…」
毛玉ではない!
まったく失礼なヤツだ。
本来ならこんな失礼なヤツ私の魔力で消し去るところだが…。
この男の人形を使った芸は実に興味深い。
気を送り込むことで、手を触れず人形を自由に動かすことができる。
この男は普通の人より少し我々に近い存在なのかもしれんな。
「今日も見に来たのか?」
ぴこぴこ
「ん? ホネっこか…。もうそのぐらいでは見せてやらん」
な、なんだってー!?
私の一日の食事を差し出しても見せないだと!
やはり消し去るか…。
「だめだよー往人さん。お客さんは大事にしないと」
「…ん? 観鈴か。学校は終わったのか?」
「うん」
この女子は神尾観鈴。
国崎往人が居候している家の娘だ。
「ポテトにもちゃんと見せてあげないとダメだよー」
うむ、その通りだ。
「しかしだな…こいつホネっこしか持ってこないんだぞ」
「ホネっこだってポテトにとっては貴重な食料だよ。…そうだ、見せてあげないと往人さんの今日のご飯なしね♪」
「ぐはっ。それだけは勘弁してくれ。…ったく、見せればいいんだろ見せれば」
この男、観鈴には弱いな。
ブツブツ言いながらも、人形に気を送り込む。
人形はひょこっと立ち上がり、トコトコと歩き出す。
ぴこぴこ〜
やはりこの人形の動きは面白い。
これをつまらないという人間の子供達の気がしれない。
「すごいね〜」
ぴこぴこ〜
「ほら、ポテトも喜んでるよ〜」
「そうか」
そっぽを向いているが、それなりに嬉しそうだ。
トコトコ
人形が軽快なダンスを踊りだす。
ついでに私も踊ってみよう。
ぴこぴこ〜♪
この由緒正しい踊りを見ればここ1年の健康は保証されたようなもの。
ありがたく拝むがいい。
「キモイわ」
バコッ!
ぴこ〜〜〜
「わっ、つば○君並の凄いキック。って、ダメでしょ住人さん。動物は大切にしないと」
「キモいのでつい…」
「もう、今日の晩御飯たくあんだけね」
「ぐわ。勘弁してくれ…」
今日も良い感じで飛ばされてしまった。
今日はどこまで行けるかな。
[後書き(っぽい物)]
あゆ「何これ!?」
g「何ってほのぼのを目指して作られた作品だが…」
あゆ「いや、全っ然ほのぼの違うし!」
g「そうか?」
あゆ「そうだよ!」
g「半分勢いで作ったしなぁ」
あゆ「ダメだこりゃ」
g「まあ、続編をお楽しみにってところかな」
あゆ「続編作る気!?」
g「作る気満々だが…」
あゆ「止めとこうよ、いやホント」
g「そこまで言うなら作らない線も5%ぐらい頭に入れとこう」
あゆ「95%ぐらいにして欲しいもんだけど…」
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